【注意】沢登はハイキングよりも専門度が高く、専用装備 も必要なので、経験者の指導を仰ぎましょう。登山で迷った場合は、沢沿いに下らず登り直して位置を確認する(装備なしで沢を下ることはほとんど危険で す)。
沢登りは何と言ってもさわやかで、夏バテ防止に最適です。丹沢は交通の便が良く、入渓者が多いので目印や巻き道が明瞭な沢が幾つもあります。 私はソロの場合、トップロープが多いです。 一般論ですが安 全には気をつけています。
注意1:本HPでは遡行する場合の向きと順序で説明しており、右手といえば左岸を指します(向かって右とは)。
注意2:自然は刻々変化しています。特に大水の多い沢ほど変化が激しく5年程度、早い場合1年でルートに変化が生じます。他 のサ イトやご自身の経験も含めて「行けた」という情報は、現地でご自身によって判断してください。
いく つか丹沢のコースを紹介します(電車・バスで行きやすい所)。
丹沢(お よそ東から西の順)
その他(遠征など)
※2010年頃から気象が激しく変化する傾向が加速し、突然の雷雨、地形の崩れ、更に蛭の増加により、楽しめない要素が増加傾向。
■ 読み物
■ 手 製渓流シューズ
私はじか足袋の裏にフェルト底を接着剤で貼り付けた手製渓流シューズを使っていました。安価なので採用していました。
足の裏の感覚が良く、親指の下にぴったり貼ったフェルトが滑らず登りやすい。 案外じょうぶで、軽く、折りたたむと小さくなるなど重宝していました。
制作時の注意としては、ゴム系接着剤がフェルトにどんどんしみ込んでしまうので、 まずフェルトと足袋の全面に薄く接着剤を塗布して乾かし、 後に再度接着剤を塗布してくっつけます。
フェルトは意外に丈夫で、じか足袋の布が先にすりきれます。 布地の修復は、ゴム様になるシリコン系接着剤(商品名ザイレックス、セメダインスーパーX等)を塗布して長持ちさせています。
使っているうちにフェルトとの接着が、はがれてきます。汚れを落とし、乾かしてからゴム系接着剤を隙間に注入します。泥よごれを落とす に は、 泥がつく前に登山靴などに履き替えるか、帰ってからバケツの中で良くもみ洗いします。
【2008年ごろから換えフェルトが販売されなくなり、一般用フェルトは柔らかく使えず、手製できなくなりました。現在は渓流シューズと して 販売されているものを使用しています。底がゴム製のものも売られていますが、渓流用とは言ってもヌメリで滑りやすいそうです】
■ フリクションノットの検討(フ リクションヒッチ)
写真1
【参考例】
メインロープφ10~11mm
スリングφ5mm×3回巻き
(写真1)
メインロープφ8.2~9mm
スリングφ4mm×3~4回巻き
材質と摩擦力に応じ調整
ソロのバックアップや ミッテルの確保、 懸垂下降等のバックアップ用、中吊りからの脱出などに使える、 フリクションノットを検討しています(右の写真)。 幾つかのアッセンダーはロープにトゲで食い込みますが、結びを使う場合はロープへの負担が少なくて済みます。 |
その他の動画へ
カラビナが顔や歯に当たらないよう注意してください(振り回さずに手で巻けばよい)。
まず一般的なフリクションノットの特性を下の写真で説明します。
(1)
プルージック
Purusik
(2)
バックマン
Bachmann
(3)
巻きつけ
Klemheist
(4)
スネーク
Snake
写真(1)のプルージック結びは最も一般的で、片手でスリングだけで結べます。 またロープの両方向に対して効きます(他の結びは片方向のみ効く)。 しかし、少し効きが弱く、他の結びにも言えますがメインロープの半分より太いスリングを使うとすり抜けます(硬さにもよる)。
写真(2)のバックマンは非常に安定ですが効きが弱いためカラビナを通す巻き数が多く必要。
写真(3)巻きつけ結び(クレムハイスト)は良く効きますが、使っているうちに回転して緩む危険があり、私は使いません。
写真(4)のスネークノットは緩まず性能的には最高ですが、結びが長くスリングをシングルにしてから巻きつけて結び直すのが大変手間で す。
他にカラビナとスリングを使うオートブロック(マッシャー)結びもある。
そこで、動画とその右の写真に示す結び方を検討しています。バックマンと同じ優れた安定性を持ち、巻きつけ結びと同程度の摩擦力を兼ね 備え ています(片方向のみ)。
手順は、スリングをカラビナにかけた後、メインロープに3~4回巻きつけます。最後にカラビナとスリングを1回転巻く。 そのためにはカラビナのゲートにスリングを2回通します。[2001年10月24日掲載]
メインロープが細い場合は、カラビナのゲートを1回通すだけではメインロープがよじれますし、 初期の摩擦力が得られず、滑る場合があるので、必ず2回通しています。
この結び方は良く効き、ロックしにくく、使っていても変形せず安定です。 しかも上へスライドさせるときの摩擦が少ない。バックマンより結ぶのが早い。
欠点としては、片手で結べず、カラビナが必要ですが、緊急用途以外では気に入っています。 なおプルージックは加重方向が図の上下どちらでも利きますが、 この方法も他の結びも一方向(図の下向き)だけに利きます。
登りに使うときは小まめにスライドさせています。大きな落下に耐えられるか実験しておりません。
【注意:誤ると致命的】 他の結び方と同じ注意が必要です。
(1)結び部やカラビナ部に加重すると(持つと)緩んで墜落してしまいます。
(2)メインロープに巻きつけるスリングが太いと滑ります。 上へスライドさせる時の摩擦力が全くないなど、軽すぎる場合は、 加重した時に滑って墜落する可能性がありますので、 巻き数を増やすか、スリングを少し細いものにしてください。
(3)摩擦力は材質だけでなく、濡れ・砂塵などで使用中に変化します。滑らない事を必ず確認して使用します。
(4)どれも下降用ではなく(熱で溶ける)、昇降のバックアップ用です。
なお、Friction Knotとも呼ばれますが結びではなく、物に巻きつけるHitchに属し、Friction Hitchが正しいそうです。
【参考】スネークノットで畑などのパイプに結ぶ応用(キュウリやゴーヤを伝わせるネットの上下端に利用、写真は下端)
単にきつく結ぶだけよりキレイで楽で解きやすい。上記(4)とは異なり、結び目が端にあります。
トリオや多人数で行く場合
沢では二人目が登った後、三人目へザイルを投げて届く場合が多いですが、スケールが大きく投げても届かない場合は、 ミッテ ルの確保にフリクションノット(フリクションヒッチ)を使って1本のザイルで登れる場合があります(但し、ノットの移動は、 基本的に両手が使える程度の難易度に限られる)。
この場合、絵の左側のようになります。ザイル長がフルに使え、上下2つの支点がありますので安全です(但しシュリンゲ が太 すぎて摩擦が利かない様にならないこと、ノットをつかんで墜落しないこと)。
また、ミッテル全員がシュリンゲを持っている必要があり、ノットを移動させる余裕のある難易度に限られます。
3人以上のパーティーで、わかっていながら危険な所もコンティニュアス(コンテ)に陥ってしまうリスクがあります。
一本のザイルを分割して全員がアンザイレンした場合、使えるザイルの長さは平均で1/(人数-1)になります。 予想した以上にピッチが長かった場合、ザイルいっぱいとなった時点で身動きが取れなくなり、 後続者も進まざるを得なくなります。 トップだけは別ザイルでスタカットとしても、支点1つに対し複数人が同時に動くので危険です(図の右側)。
フリクションノットを移動させる余裕のない厳しいルートでは、トップが(人数-1)本のザイルで後続者全員を確保する 方法 がありますが、ザイルが多くなって負担が増え逆にリスクにもなります。
その他の注意として、後続者登攀中のトップ側支点破壊について、双方向に利かないノットでどうなるかも考えて下さい。 検討 中のフリクションノットはすり抜けてしまうので、トップ側支点破壊には致命的。他のフリクションノットでは、登った倍の距離 の落下で済みます。
■ 獣 道での感染
1999年の夏はひどい目に遭いました。 鹿などの獣道を利用するとヤブ漕ぎが楽なので好んで通るのですが、腕が痒くなったのです。 3週間経っても悪くなり続け、どんどん飛び火するので病院へ行き、ステロイド剤と抗生物質の軟膏を処方いただいて、治療しました。
家族からはタオルも洗濯も別にされ、まるでバイキン扱いでした(いや、これが正しい感染防止方法です)。ご注意ください。
尾根道でもツツガムシ病に注意が呼びかけられています。 ダニに刺されて感染するリケッチアの一種だけでなく色んな虫に狙われています、薮の多いところを通る場合は特に長袖を着用し、 長ズボンの裾をを靴下の下に入れ、タオルで首を守る等して侵入を防ぎましょう。 早めにお風呂で洗い流しましょう。刺し口が化膿して、大きく赤黒い色になったり、発熱、発疹、関節痛を併発したら要注意です。 検査を受け、治療しましょう。
写真は2回目の虫刺されで、初回はさされた部位が黒く壊死し、治るまで3週間かかったのですが、 抗体ができているのでしょう、すぐに赤くなり3日間腫れましたが、壊死することもなく治っていきました。3回目は腫れもせず赤くなる面積も更 に少なかった。運動、栄養、睡眠で免疫力を維持したい。
全般に、人気のある沢は歩きやすく汚れも少なくてすむため、感染も少なそうです。
■ 山蛭の襲来
2005年6月末、丹沢・谷太郎水系:鹿ではない大型動物の糞(熊 しかないと思う)が多くなり、臭い(これも鹿ではない)がキツくなってきた時、 大きくて黒っぽい蛭が、まるでコブラの鎌首のように何匹か立ち上っている姿を発見しました。 ふと目をやると、蛭が地下足袋を這っているのに気が付きました。
驚いて指で弾き飛ばしましたが、ズボンの裏をめくると既に何匹も取り付いておりパニックになりました(ギャー)。 必死に弾き飛ばして退散することにしましたが、沢から20m上がって息を切らしていると、枯れ葉の上など、そこらじゅうに背を伸ばして取り付 こうとする蛭が足元に!
結局100m登って土が乾くまで、山蛭の襲来は止まらなかった。 登山道に出たときには2か所噛まれ、靴下が血に染まっていた。 長く厚い沢用靴下だったが、地下足袋と靴下の間にいて、薄いところから進入され噛まれていた。こんなに大量に、しかも継続的に襲われたのは初 めてです。
2012年9月初旬(時々雨)には大倉尾根帰りの人の手にバスの中でヒルが食いつきみんな驚いた。鹿などの大型動物が増え、ヒルも増え てい るのではないかと疑う。
写真は噛まれた後に何時間か経ち血液がかさぶた状になっていたところを剥がしたもの。出血部位は小さいが周辺が赤くなっている。
血をすう蛭には、田んぼや池に住むもの、今回のように湿った土にいる山蛭がいる。 これらは噛まれて血が止まるまで時間がかかるが、媒介する感染症は取りざたされていないようで、知らない間に噛まれて、本人も知らずじまいと いう事もあるので、パニックになる必要はないと自分に言い聞かせます。 寄生する蛭としては肝蛭がいる(肝の刺身や川魚のあらい、よく洗っていない野生のセリを避ければ問題ない)。
山蛭は水辺や湿った土に潜んでいて、動物の体温を感知して取り付いてきます。 取り付くと、スパートをかけてきます:一歩2cm/2秒、速いです。伸び縮みして、細くなり小さなすき間からも侵入します。 血をすったら地面に落ちて卵を産むそうです(雌雄同体)。よって、動物の通り道の、湿った場所で待ち構えている。 梅雨時が最も活発。
白く濁った液が服に付着していたら、蛭の酵素を疑ってください(蛙の卵とかではなく)。どこかに取りつかれて服の上を噛みついた跡で す。
蛭にやられると出血がなかなか止まらず苦労します。マッチをこする燐が止血に有効だそうです(血液凝固を妨害する蛭の酵素を無効化す る)。 長いソックスなどで侵入を防ぎましょう。蚊よけスプレーなどが効果的というが水に流される。
■ 汚れの臭い
沢は水が透明できれいですが、手袋などが臭くなります。特にネオプレンゴム製・人工皮革製のものが臭い。 細かい繊維や気泡の中に入り込んだ汚れに、枯草菌(納豆菌の仲間)が繁殖するのだと思います。 水だけでは落ちないので、洗剤を使ってよく洗うしかありません。
■ 熊は出ます
↑ 熊に遭遇した場合の対処方法と、私の経験した熊らしい痕跡を報告しています。
■ 自信
沢でも技術・体力だけでなく精神面の強さが必要で、ビビると登れなくなる。
しかし恐怖を無視すると安全が失われてしまう。
どこまで客観的かつ正確にルートを読み、実力を100%(必要時はそれ以上)発揮できるかが課題です。
そのためには安全の確保が重要です。クライムダウンできる所までしか登らない、安全のためハーケンを打って下るなどの予防策は必要で す。 あと、5.x級やAx級が登れるくらい十分に練習して、3級上~4級の本チャンを確実にこなすしかありません。自信とは準備をしたか、という事で す。
客観的になれるには経験が必要です。そのためにはチャレンジと失敗(練習に限る)が必要です。
必ず壁にぶつかりますが、それは自分に欠けている部分を知るチャンス。
試行錯誤も良いが、壁を越えた結果をイメージすると近道の方向がわかるそうです。
どうしてそこまでするのかって、好きだからでしょう、これに限らず。(私は限界を超えられずにいますが・・・)
登攀では達成感がスリルに比例する面があり、追求すると何時か事故を起こしてしまうリスクがあります(山岳会の話で良く聞きます)。
正しい道は
前成人期に ヤバイと気付いて大人の登り方になったり、登山よりも恋愛や家庭に力を注いだりするものですよね。
中高年登山者の事故が増加しています。こちらはスリルではなく体が昔のように動かないのだと思います。更に2000年後半から天候の激 変ぶ りが甚だしい。注意したい。