丹沢 |
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この頃は銀塩ポジで撮影していました。(鹿の前足は重なって一本が見えないだけです)
ペー ジ内リンク
・丹沢コース情報 ・危
険・崩壊箇所
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・丹沢概要紹介 ・主
要な山頂等の写真 ・丹沢の変化(1990~2010年代)
・沢登りのページ ・山道具 丹 沢の放射線量
2011~2019年までモニタしてきました。
関東では手ごろな丹沢。お近くの方は是非訪れてみてください。国体や中高年登山ブームのおかげ
で登山道の整備が進み、歩きやすくなっています。但し、捜索に備えて登山計画を家族や知人、あれば登山口に提出し ましょ
う。必ず余裕のある計画で臨み、迷っても決して沢へ下らず引き返すようにしましょう。
写真は夜明けの蛭ケ岳で出会った鹿。
↓二ノ塔の鹿
↓セドの大滝から行者ケ岳へ
↓水無川本谷の大滝
↓行者ケ岳から烏尾山、三の塔へ
その他の動画へ
■コース案内板 あまり人の 入ら
ない場所が主。●印から関連 行へジャン
プ。有名処へは上のリンクからどうぞ。
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焼山
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加 入道山
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↓
大室山
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神平山
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宮
ケ瀬 |
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●
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御 正体山
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犬
越路
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丹沢三峰
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蛭
ケ岳→
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●
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畦
ケ丸 |
檜
洞丸→
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煤 ケ谷
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菰
釣山↓
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●
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●
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←
丹沢山 |
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大
滝峠
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●ユー シン |
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←
三峰山● |
山
伏峠
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●
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↑
塔ノ岳 |
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●
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●
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中川
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雨 山峠
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●鍋
割山
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●表
尾根
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●
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大
倉尾根 |
大
山↑
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権 現山
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●
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ヤ
ビツ峠
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丹沢湖
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●秦野峠
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寄
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●
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高
松山 |
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渋 沢
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秦 野
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大野山
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丹沢山塊の鳥瞰図には杉本さんのKASHMIR 3Dを使いました。
静かなコースの近況などをいくつか紹介します。登山用品の検討には、こちらを参考 にし
てみてください。
1.大山から三峰山へ(日 帰り・健
脚向き)
大山へはケーブルカー、蓑毛、ヤビツ峠などアクセスは容易ですね。ここから東へ下り、不動尻 へ向 かいま す。不動尻の谷へ尾根か ら下る標識がありますが、ここ
で右へ折れずに尾根通しに歩けば、そのまま三峰山に 出ます。こ の尾根は登山道ではないようですの で、薮の枯れ
た冬場がおすすめです。特に急な所はありません、踏み跡があり要所に赤布やひもが目印に結ばれていますが、ルートファインディングには注意し てください。
途中に西へ向かう尾根があり、誤った踏み跡が多い。
帰りのバスは厚木や伊勢原行きが時間あたり2本程度あり。(2003年)
2.ユーシンロッジを拠点に
丹沢の主峰に囲まれたユーシンロッジは穂高の涸沢に相当します。ここを拠点に楽しんでみたい と 思っていま すが、なかなか時間が
とれず、1回しか行けていません。
丹沢湖から玄倉川沿いに入ると、歩いて1時間程の所にゲートがあり、大きな駐車場が用意されています(1999年確認)。残念ながら一 般車 はここで終点
です。更に2時間程歩いてユーシンロッジに着きます。ここからは鍋割山、塔ノ岳、蛭ケ岳、檜洞丸が近く、自由に楽しめます。ロッジ宿泊客なら ゲートから車
で入れるよう考慮されているそうなので、連絡してみましょう。(1999年)
3.西丹沢の避難小屋は整備良し
通りがかりにチェックしたところ、次の避難小屋はちゃんと戸が開閉でき、横になれる場所も確 保さ れていま す。利用者もきちんと
後片付けをしていて大変きれいでした。
犬越道避難小屋(2002年確認)、加入道避難小屋、畦ケ丸避難小屋(1999年確認)、一軒屋避難小屋、菰釣避難小屋(2000年確 認)
なお、檜洞丸から東の丹沢は営業小屋が多いためか、避難小屋ではなく休憩所が用意されています。休憩所は風が吹き抜ける涼しい設計です の で、万一の場合
は営業小屋 へ。
犬越路避難小屋は2005年年末に建て替え工事が行われました。
4.高松山から秦野峠を経て雨山峠へ
高松山から150mほど西にある分岐点を西北へ入り、薮が多くわかりにくいフェンス沿いに 100mほど歩 くと標識がみつかりま
す。ここからは薮が少なく、歩かれているため、尾根伝いに踏みあと標識を確認しながら行けば迷いません。秦野峠の南500m地点で林道に出ま す。秦野峠近
辺が複雑ですが、古い標識を頼りに何とか切り抜ければ、あとは雨山峠まではっきりした道がついています。(2000年)
5.大滝峠から二本杉峠を経て権現山、丹沢湖 浅瀬 入り口へ
西丹沢の大滝橋から入り東海自然歩道を通って大滝峠上へ着きます。ここから南下し、屏風岩山 を経 て二本杉 峠まで比較的はっきり
とした道になっています。植林と広葉樹林の境目が道になっており、わかりやすい。
二本杉峠から権現山へはこれといった道はなく、山仕事の跡を通るようなものです。広葉樹とヒノキ(薮なし)の境目を登り2等三角点へ着 く。
権現山から丹沢湖の浅瀬入り口へは薮山漕ぎとなるので行かないのがいいと思います(敢えて行くなら三角点のあるミツバ岳が適か)。地図 と磁 石は片時も手
放せない。鹿の足跡を人の踏み跡と間違えて追ったり、尾根を外さないこと(尾根以外は急)。権現山から南東、南、南東、南南東へ進み、発電所 の上まで出れ
ば、あとは階段のある道からバス停へ降りられる。(2000年)
二本杉近くの標識と、権現山の南にあった遭難防止箱はどちらも個人設置で、遭難事例がたいへん教訓になる。
【写真】
6.ドーンという音
富士山麓の演習音を、鍋割山など丹沢西部で聴くことができます。東に離れるほど聞こえなくな りま すが、低 い音だけは谷間にも回
りこんで葛葉川流域や、三ノ塔南の尾根でも聞こえる場合があるようです。
表尾根にも届いているはずですが、風の音と紛らわしい低音のため気付いたことはありません。そのため、今までは丹沢のどこかで鳴ってい る音 (鹿よけのお
どし等)だと思っていました。ところが音を聞きながら、風神のコルから林道を音のする西へ向かって戸川林道まで歩いた結果、約4kmの距離差 で音の大きさ
と方向が大きく変わることはありませんでした。このことからドーンという低い音は数10km以上西の遠くから届く音だと考えられます。
7.寄~秦野峠~日影山(ブッツェ平)~大野 山
寄からシダンゴ山、秦野峠へは明瞭な道が続いている。
秦野峠へは、林道を横切ってすぐに登山道があるが、今回は200mほど西に歩き、ヘイソ沢にかかった橋のあたりから作業道を登った。運 良く 刈り払われて
おり秦野峠手前の尾根まで快適に登れた。日影山への尾根は部分的に薮が多い個所があるがおおむね良好。広域基幹林道「秦野峠線」の開通によ り、日影山の手
前で林道を再度渡った。興醒め。
林道から日影山へは明瞭な道があるが、山頂は混乱している。地図と磁石を頼りに踏みあとの不明瞭な鹿よけフェンスの西側を南南西へ尾根 を 守って下ると、
踏み跡はやがて明確になる。しかし不明瞭な部分が何個所かあり、やがて大野山と丹沢湖への分岐点へ出る。運良く刈り払われていたので楽に歩け た。
(2000年)
狩が行われています。ご参考に猟区と猟期の情報です。 【写 真】
8.戸川林道の山蛭は健在?
大倉から水無川沿いに戸川林道をよく歩きますが、山蛭がここにもいると先輩が言っていまし た。丹 沢北部で は有名ですが、梅雨な
ど湿った季節にはこの辺りにも出るのだといいます。
6月に、大倉から歩いて約20分のところを、後ろから車がきたので、山側へよけました。その瞬間、上から頭に何かが落ちてきました。 とっさ に払いのけた
ところ、黒っぽい1cm程度の塊が頭から道に落ちました。同時にひんやりと濡れたものが手に残りました。落ちてきたそれが何であるか確認する 前に車が通過
し、踏まれてしまったのか土ぼこりの中にそれらしいものを確認することはできませんでした。
わずか15秒の出来事でしたが、きっと山蛭です。濡れて枝垂れた広葉樹の下は避けましょう。(2001年)
免責
コックちゃんを参考にされる場合は、ご自身の責任でリスクを管理してください。いかなる結果についてもコックちゃんは責任を 負い かねま す。
全般に登山道は良く整備されていますが、一部通行しにくい場所の近況を掲載します。 事故のインパクトを減らすため単独は避け、捜索 でき
るよう登山計画を家族や仲間、会、警察などへ提出しましょう。
(1)表尾根・行者岳付近 【写真】 高精細 ブロードバンドへ
ステンレス製の鎖と橋により安心して通行できる。
しかし岩場の下りで特に雪や氷がついた場合は鎖を手放せない。何人も鎖につかまらないようお互い調整が必要。2000-2006年確認。
(2)鍋割峠~雨山峠 【写真】
2000年頃は通行禁止の看板ができたが、2004年頃には腐れて倒れ、2006年にはほぼ 消 失。写真の 一部ひどく崩壊した所は、ステンレス製の鎖が
設置されており安心して通行できる。この花崗岩らし
い崩壊個所は石車の多い滑らかな長い急斜面となっていて、雨や雪でなくても鎖に力をかけないと滑りそう。人が通行するために起こった侵食らし く、道だけが
深く削られ、左右は残っているので横に落ちる心配はないが、どうしても砂や小石を落としてしまう。2000-2004年確認。
(3)雨山峠~寄 【写真】
雨山峠から約800m付近で一ケ所土が大きく崩れているが、7m程度の急斜面にステンレス製 の鎖 を設けて 頂いており、ありがた
い。その他にも小さな崩壊が多く、特に大雨で橋がよく流されている事実から、雨や風の強い日は渡渉不能になったり落石に注意が必要です。
新しい橋を設置したり、道標を更新するなど、大変な努力がなされています。しかし同じ年に大雨で破壊されたものがいくつもあり、このあ たり は立派な一般
登山道には向かないようです。しっかりした鎖が最も経済的で効果的かもしれません。2000-2006年確認。
(4)丹沢山~蛭ケ岳~檜洞丸
大きな崩壊個所や急な地形には鎖や立派な鉄梯子と長い橋により楽に通過できる。
しかし積雪期には難易度が増すので、参考として幾つかのポイントを「写真」で説明します。1999,2005年確認。
【写真】
(5)丹沢山~宮ケ瀬
比較的上の方で、何箇所か大きな崩壊があるが長い橋により楽に通過できる。 低い地点では山蛭に注意のカンバンあり(夏場、木から狙って落ちてくる)。
冬には、送電線が横切っている金冷しから高畑山より上(南)では斜面が雪で埋まるため、
尾根通しの冬道を利用する選択肢も検討して下さい。写真を参考にして下さい。
高畑山の東斜面の道が崩れて木の橋が落ち、登山道が高畑山ピークを通れます。 2001-2011年確認。
【写真】
(6)犬越路~音久和
神ノ川沿いに歩いたが、放し飼いの犬と野良犬に3箇所で合計7匹に出会った。正月で工事現場 に餌 がなく、 道路を縄張りの中に入
れている集団は特に危険だったので、通行する車を長い間待ち、頼み込んで乗せてもらい難を逃れた。途中で放し飼いの犬と出会うと同時に野良犬 に付きまとわ
れたが、1km程歩いて次に出会った放し飼いの犬の縄張りを野良犬は通過できず、おかげで私は開放された。1994年犬年の体験。
(7)大滝峠上から信玄平、城ケ尾峠(旧東海自然歩道) 【写真】
旧東海自然歩道だったが沢の崩壊が進んだため平成4年に廃道となり、今や道の形跡を見出せる 程度 となって いる。沢にかかってい
た橋は落ちたり傾いたりしていてほとんど使えない。しかし今でもわずかに歩く人があって薮山に比べれば歩きやすい。今回は偵察に行っただけな ので、今後更
新します。(2000年)
(8)熊は出ます 【写真】
丹沢・谷太郎沢流域には熊が出るとの立て札が設置されていますが、これは放流しているヤマメ を守 る脅しで はなく、本当のようです。(2001年)
立山の奥大日岳で、熊に襲われた女性の話もあります(2004年)
丹沢・水無側本谷でも熊と思われる糞を見つけました。(2005年)
鍋割山への沢筋に目撃したと知人から報告がありました。(2008年)
宮ケ瀬にも熊目撃のカンバンがあります。(2009年)
熊に遭遇しない方法、遭遇した場合の対処なども掲載しています。 免
責
コックちゃんを参考にされる場合は、ご自身の責任でリスクを管理してください。いかなる結果についてもコックちゃんは責任を 負い かねま す。
◆概要
鹿は平地や里山に住む動物ですが、開発や狩猟によって標高の高い山域へ追いやられ、保護区の 貴重 な植物を 餌にしています。
最近の動向として、標高800m以下の環境収容力を向上させ、大型動物を本来棲息する地域の近くに連れ戻す施策が進められているそうです。
◆丹沢の鹿に関連する歴史
・1953年,1954年の2年間にわたり、鹿猟が解禁されました。
その結果、鹿は激減し、蛭ケ岳など一部の高標高地域にのみ棲息が限られることとなりました。
・1955年から1970年の間、この反省から鹿猟が禁止され、鹿の頭数はしだいに回復して行きました。
意外にも回復の一因には、日本の高度成長が関与しています。当時の急増する住宅需要を満たすべく、伐採と植林が大量に行われました。
これによって発生した幼齢植林地は日当たりがよく、鹿の好む草が成長するので、鹿は平地や里山まで降りなくても餌が手に入ったのです。
鹿は草を食べるだけでなくまだ背の低い植林にも被害を与えたと思われます。
・1969年から防鹿柵が積極的に設けられ、植林を食害から守るようになりました。
同時に、猟区・保護区を分けることにより、鹿の個体数コントロールが始まりました。
猟区には乱場と呼ばれる一般の猟場もあり、鹿は柵と猟に追われて標高の高い保護区へ集中することとなりました。
◆保護区の荒廃と鹿の個体低質化
その結果、保護区周辺に鹿が集まり、保護区の貴重な植物が食べられることになりました。
自然の一部である鹿の採食とはいえ、元々このような高い場所に鹿が来る必要は無かった訳ですから、我々自身によって発生した間接的な食害と 言ってよいで
しょう。 大気汚染とあいまって保護区の荒廃が進んで問題となり、保護区の植物を鹿から守る柵を設ける必要が生じました。
一方、鹿は今まで食べなかった樹木の皮やスズタケ等を餌の対象とせざるを得ず、栄養状態が悪化しています。
その結果、体の成長率低下、メスの妊娠率低下、病気への抵抗力低下による寄生虫感染率の上昇など、個体の低質化が顕著となっています。
それでも鹿が多く棲息している理由は、丹沢では大雪が少なく、冬季の大量死が起こりにくいためと見られます。
写真は鹿の採食を防ぐ柵の効果です。左側は鹿の採食によって、刈り払われたように緑が無くなっていますが、右側は鹿が入れないため青々 とし ています。
下の写真は柵の範囲を遠くから撮影したもので、鹿が食べなければ丹沢の植生が取り戻せる事が歴然です。
また、鹿も現在では厳しい食料状況にある事がわかります。
◆農林業と生物多様性の両立を目指して
以上のように、鹿のコントロールによって自然の利 用と 保護が進 められましたが、
保護区の荒廃と鹿の低質化が問題となっています。
そこで丹沢全体の生物多様性回復に向け、800m以下の環境収容力を確保して大型動物を低地に導く対策が検討されているそうです。
具体的には、現在の植林(針葉樹)の一部をモザイク状から網の目状の広葉樹林へ置き換え、動物の餌を増やすと同時に大雨による崩壊を予 防し ます。
更には広葉樹林化された低標高域どうしを連結し、広い範囲で動物の遺伝子交流を促進することで、動物個体の多様性も含めて回復させようという のです
実現には各署の協力と長い年月が必要であり、今後の健闘に期待したいと思います。
なお、2008年~2009年には、増えすぎた鹿を猟によって個体数制御しています。
参考資料
・神奈川県自然環境保全センターホームページ
・丹沢大山自然環境総合調査報告書
(注)生物多様性
自然環境の豊かさを生物種の多さであらわした指標のことで、種が多いほど豊か。種が少ないと環境変化に適応する種が現れにくいので自然 の回 復力は弱い。
このような観点から、馬や鹿といった種の違いだけでなく、人にたとえれば人種や個性のバラエティーに価値が見出される。
例えば、植物が多くても、種類の少ない針葉樹の植林ばかりだと多様性は低下する。別の例として崩壊地は一見荒れているようでも、そこを 好む 別の植物や昆
虫が繁殖するので多様性に寄与する側面を持つ。しかし崩壊が多すぎると多様性が減少に転ずるのでバランスの良い評価が必要だ。
私たちが楽しむ自然景観の多様性は、同時に生物の多様性にも通じる面がある。一方、私たち実存のありようとしての多様性とは裏腹に、商 業的 な選択肢の多
様性と幸福感は相反するものらしい。大した意味も無い選択に煩わされて「大切」ということを忘れる日常を抜け出し、選択の余地すら無いことも ある山を歩く
貴重な時 間を味わってみてはいかがでしょうか。