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  GNSS(GPS、GLONASS等)

etrex30x
 写真のような専用受信機をお持ちであってもなくても、お手持ちのスマート フォンなど携帯デバイスにGNSSアプリをインス トールしましょう、道迷い事故の多くを救えるでしょう。
 環境条件が穏やかな場合はスマートホンの情報提示力が有効です。YAMAP、ヤマレコ、スーパー地形、山旅ロガー&地図ロイ ド、Geographicaなどが有名どころです。 (GNSS: Global Navigation Satellite System アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国が全地球に展開している。日本のみちびきQZSSは地域系衛星)。
 スマートフォンのロック解除を山登りの時だけ単純化しておけ ば(電源ボタンだけで見らられるように等)手袋でも操作が容易になります。私の古いスマートフォンをGNSS専用機としてみました。結果、機内モー ドで5時間使用して電池75%に減ったので20時間は使えそうです。モバイルバッテリーは必携。

 でも冬の少し高い山などの山行記録を見ると軌跡が飛んでいるものが結構あり、 消費電力を減らした副作用と推察します。 こういうとき専用機は面倒がなくて強いです(写真のもの は単三電池二本で25時間使用可能という仕様)。
 一般のスマートフォンは温度環境に弱く、県警の登山事故を見ていると、冬にホワイトアウトしスマホを開いたら画面 が真っ白で、 崖を避けようとする心理的バイアスによりコースアウトしビバークして救助という例があります(リ ングワンデ リングへ)、真にGNSSが必要な時は環境条件も時間も厳しく信頼性と操作性が重要です。

1.YAMAP、ヤマレコ、スーパー地形、山旅ロガーと地図ロ イドを比較 (2023年時点の有名オフライン地図)
 どれも無料の場合は制限があり、有料で使うならどれが自分に適するか比較するために表を作ってみました。
 天気の良い有名な山を歩くなら現在位置さえ判れば十分ですが、冬道(一般道と異なる)を行く場合とか薮山へ分け入るとか気 象がエクストリー ムだとかニーズは様々であり、山行に応じた最適装備とすべきでしょう(解は一つではない)。また、現時点では国土地理院の地形図が更新され ておらず登山に使えない箇所が多々ある点が背景にあり、GNSS軌跡のビッグデーターを用いて登山道を修正する試みが進行中 です。

項目 YAMAP ヤマレコ スーパー地形 山旅ロガーGOLD
費用 年額5,700円、月額780円 年額3,400円~、月額550円 年額750円 $4.99のアプリ買い取り制
同じアカウントなら何台でもインストール可能
オフライン地図機能 〇コースとタイムが表示され計画しやすい 〇みんなの足跡が参考になる 〇国土地理院の傾斜(雪崩)地図なども表示可能 〇設定によりヤマレコの「みんなの足跡」も表示できる
SNS機能 なし

・YAMAPとヤマレコは地図だけでなく山友達向けサービスも提供しており写真と軌跡の関連付けも自動、料金はサブスクリプ ション。
・スーパー地形はkashimir3Dで有名な杉本さんが提供しており、地図としては最高だと思います。年会費もお得感が高 い。
・山旅ロガーGOLD&地図ロイドはロガーのみ有料で「買い取 り制」 がうれ しいです。無料版でも軌跡が自動追尾しないだけで地図に制限はありません。設定により地図を追加できる点もうれしい。アプリ は同じアカウントであれば複数の端末で使えます(アカウント確認には時間がかかるので別端末にインストールするとき再購入し てしまわないよう待つ)。
・山と高原地図は紙のものを購入しており、アプリはチェックで きていませんが、 現地調査している点が安心です。但し田舎の山は対象外が多いです。

2.私はどれを選択したか
 山旅ロガーGOLDを購入し地図ロイドと併せて使用しています。上の写真のGPS専用機も併用しており、通信用のスマートフォンにも地 図をインストールして3重系にしていますが、通常は使わず電池を温存しておきます。(紙の地図は出し入 れしにくく実質使わなく なってしまいました、参考にはしないで下さい)。専用機の画面は小さく地図データも国土地理院地図に比べて精密さでかなり劣ります。有名な山ならともかく上部の雪崩れそう な ところや 何番目の尾根だとか十分判別できないため、スマートフォンの圧倒的な情報提示力(紙の地図並み)も併用して不稼働率を下げていま す。設定により地図ロイドにヤマレコの「みんなの足跡」をオフラインで表示でき、 冬道等の参考になります。別途、登山SNSも無料の範囲で自宅のPCからやってみており、結局どれも利用しているような状況です(おかげでHPの更新がで きないです)。

Garmin
Garmin製はビットマップ地図をカスタム地図として表示できる。
スマートフォン
地図ロイドは設定によりヤマレコの「みんなの足跡」を表示できる。
 上記のようにして十分な機能を手に入れることができました。傾斜図(雪崩用)まで出るアプリはスーパー地形で、機能的には 最高なのですが、ルート検討は山行前に行うので、紙やWebベースで行い、現地では等高線で確認です。
(どちらも地形図は国土地理院を使用)

 1台目のGPS受信機を購入した時代は地図など表示できず、予定コースを入れておき外れていないかの確認用 だったのに、今や地図代わりが当たり前の時代 となりました。写真左のようにGNSS受信機へカスタムマップを追加でき、kashimir3Dのマップカッターでタイル化すればUSB経由でビッ トマップ型の地図として表示できます(欧米用の機種にも日本語カスタム地図が絵として表示できる)、ただファイ ルサイズは数MBまでなので、山行ごとに地図ファイルを入れ替える必要があります(使わないファイ ルを置いているだけでメモリー不足となり表示されません、削除します)。

3.GNSS専用受信機とスマートフォンの精度比較
  下の図でGNSS専用機が緑の 線スマートフォンが赤の 線です。山影となる斜面では スマートフォンの方が誤差 が目立ちます。これは機種や製造年にもよると思いますし、今回はオフラインなのでA-GPSが働いていないせいもあります、オンラインならA-GPS補正でスマートフォン 精度が上がるでしょう。更にス マートフォンの温度を保つためにポケットの中に入れていたため、外にさらしていた専用機よりGNSS電波状況の悪い場所に なってしまう点も影響していると思います。
比較
(地形図は国土地理院より)

4.エクストリームな場合
 写真の専用機が-20℃まで動作する仕様で、他にレスキュー仕様もあり、山行の仕様に従って選定となるでしょう。冬山へ地図としてスマ ホだけで行ってはなりません、絶対に。スマートフォン は一般的にシェル の内側に保温となります。
 スマホの中にはMIL-STD-810準拠のものもあります、かつては防水・防塵・衝撃から対応が始まりました。その後、温度に関して も対応が進んでいるものがあり、よく仕様を読まなければいけんません(実力で動作したといっても他の製造番号のものが動作する保証はあり ませんし経時劣化もあります)。よさげなものとして京セラのTorqueシリーズや米キャタピラー社のものが有名で、どれも5万円以上し ます。

5.国土地理院の等高線に敬意
 ガスや薮により地形の見通しがないことがあり、GNSSで得られる現在地の情報に地図と方位が加われば確実性が増します(見通しが無い と紙とコンパスだけでは限界がある)。 今まで比較検討してきましたが、国土地理院地図の等高線はすばらしい。作成者の熱い思いが感じられます。OSM地図の等高線には読める情報が少なくて使えないです(そもそ もstreet用だし)。ただ早く登山道などの見直しをしていただかないと、踏み跡が少ない場所では古い情報がかえって道迷いを誘発する 箇所が多いです。


1999年から更新してきた古い記事には詳細な事を記載しています、こちらからどうぞ

国土地理院 http://www.gsi.go.jp/
(1/25,000地図公開 http://watchizu.gsi.go.jp/
YAMAP https://yamap.com/
ヤマレコ https://www.yamareco.com/
KASHMIR 3D http://www.kashmir3d.com/
スーパー地形 https://www.kashmir3d.com/online/superdemapp/
山旅ロガーGOLD https://play.google.com/store/apps/details?id=com.kamoland.ytlog_g&hl=ja&gl=US

リングワンデリング

 見通しが効かなくなった際、現在地と方向を失うのは非常に恐ろしいことです。リングワンデリングの様に同じところに戻ってしまう事は稀で しょうが、位置と方角を迷わせる幾つもの原因が思い当たります。

 特に吹雪やガスであったり、曇天や霧の密林で、見通しが効かず太陽の方向も判らない、登山道や踏み跡がわからない藪や雪、そして 尾根や渓谷ではなく少し離れたところも似た地形が現れるような緩傾斜:日本ではそう多くないですが小規模でもこのように迷いそうな所はけっこう多く存在しま す。突然このような状況にならなくても、山菜取りで道なきところを進んだり、迷い道や獣道をたどってしまい気づくと道なき場所だったというケースは多いと 思います。引き返すか、位置と方位を確認できるまで待機するのが鉄則です(よく見えないで進みシュルンドや穴に落ちたら発見してもらえない)。
 地図と方位磁石(あるいはスマホアプリ)を持っていても常に見ながら歩く訳ではないので、まっすぐ進んでいるつもりでも、どうしても曲がって歩いてしまう原 因は幾つも思い当たります。

・利き足が強いので目標を失うと曲がってしまう。
・危険な地形がどちらかにある場合、避ける方向に心理的バイアスがかかり過度に曲がってしまう。
・斜度による物理的バイアスで曲がってしまう。
・風による物理的バイアスで曲がってしまう。
・雪によって少しずつ流される。
・目印を探しながら歩くと、まっすぐ歩くことがおろそかになる。
・凹凸がたくさんあるとバランスを崩し位置も方位も錯乱する。
・ツボ足からの脱出、根曲竹(チシマザサ)との闘いなど作業による方位喪失。
・マーキングを登山道だと勘違いしてしまう(必ずしも登山の目印とは限らない)。
・地図が古く無いものを探して迷う。

 色々ありますが、間違って歩いてしまった距離だけ計画から外れてしまいます。地図と磁石を出したとき「あれれ?」となるの で、小まめに確認が必要です。間違ったところが隣の尾根や谷だったら勘違いしませんか?怖いですよね、けっこう遭難原因になると思います。


迷ったとき、沢へ下るな、尾根も下るな、引き返せ

 沢登りを楽しんでいたころ、沢を下る実験をしてみました。迷わないよう、登った沢ルートを降りたのですが、ザイル無しで登れる3級程度の滝なのに、降りる 際はほとんど40mザイルで懸垂下降となりました(20mでは全然足りないです)。足だけで登れるような所しか下ることはできませんでした。
 登るときは支点をよく確認できるのに、下りでは支点が見えなくてルートを計画できず、滑るので力の加減が難しいためです。これは通常の登山でも下りで事故が 起きやすいのと同じです。沢で滑り落ちると、すぐに骨折へつながるので怖くて下れないです。

 沢の地形は雨で増水した時に侵食されて川岸が急峻です。途中に大きな岩があれば滝を形成し、とても下ることができません。滝を避けて横に巻いて降りるのに も岸が急なので行き詰まる可能性が高いです。ザイルがあっても支点が取れないか長さが足りなければ行き詰まります。

 二つの沢が合流するところは両方の沢に尾根が挟まれて消失します、且つ侵食されて急斜面がほとんどです。このことは尾根を下っても安全地帯に到達する前に 沢に挟まれ行き詰まる場合が多いという意味になります。残念ながら、ほとんどの尾根がこのような結果となります。

 理論がありそう:沢か谷が1本できれば、尾根も1本できます(はっきりした尾根でなくても、沢に挟まれた部分を尾根に数えます)。下るにつれて沢は合流し て本数を減らし大きな川になっていきます(ほとんどの場合)、なので尾根も下るにつれて本数が減ってゆき、尾根を歩いていた人は沢へ導かれます。その途中に登 山道や 林道へたどり着く確率は地図を見れば数えられると思います。沢や谷の出合いの数だけ尾根が消失するのです。
 なだらかなら良いのですが、日本の山を登るなら上記の場合がほとんどだと思います。


深雪が怖い

 気温が低く新雪が多く積もると空気をたくさん含んだふわふわの深雪となります。結晶どうしの結合が少なく柔らかくて気持ちよく、温暖地に住む人にとっては 「巡り合えた」とすら感じます。

 戯れるならともかく何の攻撃性も感じさせない雪は、ラッセルを隊列で進んだりで、たいていは行けるところまでで引き返す分には良いのです。でも怖いんです よね。

 痩せた尾根で大量の新雪に吹雪かれると、雪は谷へ流れ落ちてゆきます。この流れに抗して登山者はラッセルする必要がありますが、左右のバランスの点で考え てみましょう。無風であれば尾根の上が安定点ですが、強い風があると下流に流されるバイアスがかかりますので尾根より風上側でバランスが取れます。一方、風の 強さは大きく変化する場合が多く、結果バイアスの変化分だけ登山者は不安定点で横に揺さぶられるのです。
 このリスクは主に風による問題ですが、深雪があると尾根という支点より上にいるのでバランスが悪く、新雪の柔らかさが更にバランスを悪くし、且つ滑り落ちや すくなるのが怖いのです。

 たとえ平地であっても進むのに多くのエネルギーを要する点も怖いです。地形的に登りを引き返すなら楽ですが、繰り返す高低差や距離のあるルートの只中に新 雪が降っ て進退窮まると身動きが取れなくなり、安全圏まで帰るに要するエネルギーが問題になります。見込み違いで十分な食料がないと自分の体をエネル ギーに変えて帰還するか救助まで持たせる必要があります。

 私などは安全確実なコースに限定し深入りはしないです。


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