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  GPS

 技術の進歩でGPS携帯デバイスが増え、電力もモバイル用電 池から融通できる時代になりました。スマートフォンなどの携帯デバイスでGPSが使えるようにし、万一に備えましょう(多く の道迷いを救える)。
 また積極的にGPSを使う場合でも、スマートフォンが使用できる環境であることが確認できればGPS専用受信機を代替でき ると思います。
(以下、GPSを利用する装置のことを単にGPSと表現しています。)

 一方、GPS専用受信機は常時動作させられ、太陽光の下でも視認性が優れ、手袋でも操作しやすい設計ですので、冬の高い山 など積極的な使用が想定される山行に利用しています。
 新しく購入する場合、地形図付きのものは高価で、購入すべき地形図が東日本と西日本で別れていたりし ます。新しい機種が出るペースが遅く機能的にはスマートフォンアプリに追い抜かれています。このままだと今後は一部の人し か買わないように思います。

 なお、GPSだけでなくコンパスと地図も持参し、万一のエクストリームな状況でサバイブできるようにしておきましょう。電 波状況で測定できなかったり、電池切れや故障、操作が困難な状況もあり得るからです。
 実際のフィールドでGPSを使いこなすには工夫と注意が必要 です。そもそもGPSが必要になるのはリスクが大きい時です。 いざ必要になってから使えなかったり間違ったりしないよう、私の試している方法をご紹介しす。


 写真は私の使っていたもの(右)と、現在のもの(左)です。磁気コンパスをアンテナの邪魔にならない箇所に接着しました。 これらのモデルは地形図が出ませんので、使いこなす技を練習しておく必要があります(目印との関係は地図式に表示される)。 コンピュータ上で作成したトレースやランドマークを記録しておき本番で利用したり、山頂などとの相対距離と方位から地図上で 現在位置を知ったり、経緯度のメッシュを印刷した地図で経緯度の数値に従って現在位置をプロットしたり、常時動作させてト レースを記録し引き返す際に利用可能とするといった方法となります。地形図が出れば一発なんですが、無いより格段に安心で す。
 どちらも 風雨や雪の中での手袋操作に適したボタン操作式です。感度は写真のものより、アンテナが付き出したヘリカルアンテナのものが 良いそうです。
 防水性、直射日光下での視認性、動作時間、低温での液晶表示速度が重要な要素です。スマートフォンの場合は防水で堅牢な ものもあり、モバイル電池があれば連絡手段の電力を心配しなくてよいので、相当広い条件下で実用になると思います。

 注意:スマートフォン位置情報はGPSだけでなく携帯電話の電波到達時刻を使った測量(基地局からの距離から計算)でも 行っていますので、GPS機能が故障していても生活圏では気付かず、携帯電話圏外で位置情報が突然使えなくなるリスクがあり ます。アプリの設定でGPSだけによる測位が可能か点検を行ってください。
GPS

 トピック
(1)2018年(個人的なトピック)
 遅ればせながら多くの電池システムをNi-Hからリチウムイオン電池へ移行。モバイル電池からスマートフォン・ヘッドランプへ融通でき るようにした(という時代の記録)。
 Geographicaという登山地図アプリを追加し、スマートフォンで十分使えそうだと実感した(エクストリーム以外は)。

(2)2016年
 米国のGPSに加え、ロシアのGLONASS、加えて日本の準天頂衛星「みちびき」に対応したものが主流となって います。準天頂衛星の軌道は高い仰角を衛星が運航するので、谷やビルの下にも電波が届き易くなり、測位やその精度向上が期待されます。

(3)2013年
smartphone  防水スマートフォンで「地図ロイド」と「山旅ロガー」を使用してみたところ、 予め目的地の地図を閲覧しておけばオフラインでもGPSの動作が可能でした。かつての携帯電話GPS機能とは異なり、端末自身で計算している ため、単独で動作します。

(4)2002年
GPS受信機能のついた携帯電話を使い始めました(当時スマートフォンは存在しなかった)。
携帯電話
特徴は次のとおりです。
・意外に感度が高く、多少の林や木のそばでも問題なく受信できる。
・緯度経度は「度分秒」または「度分(4桁)」で表されるが、このモデルでは後者が採用されている。例えば「123度45分30秒」は 「123度45.50分」と同じなので換算が必要であるか地図の表現と比較する必要があります。
・受信情報をネットへ送り、サーバー側で位置を計算して地図とリンクさせるしくみらしい。この頃は携帯電話単独で測位できない仕様のよ うです、山ではほとんど使えません(という時代の記録)。

(5)2000年5月(当時GPSを使うにはGPS専用受信機以外に手段がなく持っていた)
 民間向けGPS信号の精度が向上し、条件にもよりますが今までの誤差約100mが誤差約10mに改善されるとの発表がありま した。 今まで民間向けGPS信号を軍事目的に転用しにくくする目的で誤差信号が混入されていたのですが、 地域を限定して誤差信号を有効・無効に制御する技術が確認されたため、 通常の地域では民間向けGPS本来の精度で測地できるようになったというものです。
 2000年5月3日に常念乗越のテント場で確認したところ、 衛星7個受信時に推定誤差1mと表示されました(今までは良くても推定誤差10~20m程度でした)。 10m以下の測定結果を表示する特殊モードでは、テントの中で2m程度受信位置を変更したところ、移動方向と約2mの「変化」も検出されました。 驚くべき精度です。
 但し注意してください、民間用GPS信号の有効語長(数字の桁数)は10m程度の表現能力しかありません。 従って上記テント内実験の精度は、同じ衛星を使ってごく短い時間内の相対的な変位を検出できたというものです。 数10分後には同じ精度の測定結果は得られませんでしたので、一般的に10m程度の誤差は見込む必要があります。

 GPSの原理 と性質

 GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)は米国政府が管理する衛星を使った測位システムで、 衛星から送られる電波から受信点の位置と正確な現在時刻を求めることができます。
 衛星の発する信号には、信号を送った時刻と衛星の位地情報が含まれています。 信号を受信した時刻と、受信情報の中に書かれた送信時刻との差から、 受信地点と衛星の距離を求めることができます。 極めて正確な時計があれば原理的には3個の衛星から受信点の位置を計算する事ができます(衛星からの距離を半径とする3つの球が交わる2点を 計算し、地球表面に近い点を現在位地として選ぶ)。 しかし実際のGPS受信器には、そこまで正確な時計を実装せず、4個以上の衛星を使って、連立方程式から3個の位置情報と時刻(合計4個の未知数)を解い ています。

 以上の原理により、GPS測位には最低4個の衛星を受信する必要があり、 受信できる衛星どうしの距離が近い場合や、受信可能な衛星の数が少ない場合は誤差が大きくなります。 受信アンテナの指向性が広い範囲をカバーしていても、崖や谷によって電波が遮蔽されたり反射された場合には大きな測定誤差が発生します。 GPSにとって厳しいと思われる条件を実際に試したところ、およそ下記の結果が得られました。なお受信機の感度によって多少の差がありますの でご注意ください。

GPS受信環境と実験結果

条件
結果
降雨、降雪
衛星からの電波が多少の減衰を受けます。
しかし空を遮るものが無ければ、たいてい問題ありませんでした。
なお受信機の防水・防滴仕様には注意してください。
樹林帯
シラビソや杉など高い木が密集して空が見えない場合は、 樹木による減衰が大きく全く使えない場合が多い
一本であっても、太い幹を持つ大きな木のすぐそばでも同様に減衰が大きい。
明るい広葉樹や低木の場合、木から離れていれば多くの場合問題ありませんでした
沢、狭い谷、壁
ほとんどの場合、衛星受信数不足や、反射波による測定誤差が大きく使えない、または信頼 できない

GPS衛星「みちびき」によって衛星1個分改善されることを期待します。
受信環境が良くても思わぬ誤差や不具合が発生する場合がありますので、下記の注意を払ってください。

注意事項

項目
注意事項
方位に注意
GPSは専ら位置情報を提供するだけです
 なので、移動するために必要な方位情報は別の手段(磁気コンパス、地形、太陽など)から知るか、最悪は動いてみてGPSの 進行方向 から知る必要があります。一般に磁気コンパスが優れます。スマートフォンは磁気コンパス付きのものを選びましょう。
 なおDGPSを使えば方位もわかりますが、今のところ車・船舶・航空機用です。
動作温度範囲
に注意
 典型的なGPS受信機の使用温度範囲は、日常用で0℃~50℃、3シーズン用で -10℃~+60℃、 警察・レスキュー用で-25℃~+70℃です(2003年)。
 私はザックの肩ベルトに括り付け常時受信していますから温められません。3000m級でなくても-10℃を簡単に下回り、 受信動作や精度に問題の出る場合があります。 ポリエチレンの袋で包み、冷凍庫に入れて1時間程度温度に馴らして実験するなど確認しておく必要があります。 万一フィールドで問題が生じた場合はポケットに入れて温度低下を防ぐなどの工夫が要ります。
 スマートフォンは冷凍庫に入れると壊れたり電池が使えなくなったりすると予想されます。動作温度範囲外であれば必ずポケッ トに持参となるでしょう。
液晶は 低温
に注意
 多くのGPS受信機には液晶表示が使われています。 液晶(バックライト式でない)は消費電力が少ない利点がありますが、低温時の表示速度が低下したり、 表示が見えなくなる傾向にあるので実際に使って確かめておく必要があります。
 私の例では気温-15℃程度において、表示を変えた後で読めるようになるまで2秒もかかりました。 何度もボタンを押す必要のある操作は、表示が変わるたびに2秒待つ必要があり、使い物にならなくなる。
 対策として、あらかじめ必要なモードに設定して見るだけにしておけば液晶表示の遅さや手袋による操作のしづらさも気になり ません。
標高
に注意
 地形図+標高データを持つGPSの場合、地図から標高を読む理屈で正確な標高を提供するもの が増えてきました。その場合は知りえる最高精度の標高が得られます。以下の記載はそうでない場合です。
(1) GPS受信機に表示される標高(平均海面からの高さ)は、地球上の海面を回転楕 円体として近似して いる場合が多い(最近は(3)のように正確なものもある)。 実際の海面は海流や重力の偏り等の影響でこの近似から外れており、 地図に使われる標高は実際の海面を実測した重力に基づいて水平方向に延長・補間して標高を定義しています。
 従って多くのGPS受信機の示す標高には誤差が多く含まれます。 地図の標高を使ってちゃんと補正しておく必要があります。
(2) また、受信できる衛星の数が3個以下になった場合、標高が前回の測定結果と同じであると仮定して二次元測量を 行う場合があり、 この場合の標高は新しい情報にはなりません。 2次元測量は平地なら実用的な機能ですが、山では使えません。
基準点
に注意
 経緯度から紙の地図で位置確認をする場合の注意です。同じGPS受信機内で地図表示する場合 は気にする必要ありません。
 GPSで測定した緯度と経度を地図上で参照する場合、両者の測地系が違うと問題になります(同じGPS受信機で測定した目 標 と現在位置との相対関係だけを扱う場合には問題になりません)。
 基準によっては400m程度の差がありますので、間違えると致命的な誤差が生じます。 日本の地図では2002年まではTokyoでしたがWGS84へ移行しました。 古い地図はTokyoのままですから、新しい測地系の地図を使うか、GPSに古い測地系で表示させる必要があります。


 GPSの意義
 天気が良かったり、道の上を歩いていたりする限り、道標や山岳同定などによって、まず迷う事はないと思います。 また、バリエーション要素が多く視界があまり利かない場合でも、有名なルートなら何々ピークとか出合いなどの目印が役立ったり、沢や尾根など線状のルート にいる事がわかっていれば高度計でおよその位置を推定できます。
 GPSが助けとなるのは、間違ったルートを降りていないか等の確認や、ひどい降雪やガスに巻かれた場合等です。気になったら積極的に確認す るのが遭難防止になると思います。
 機械は故障したり電池切れになったりする場合もあります。 またGPSの効かない深い谷や暗い樹林帯も多く存在します。 従ってGPS以外の代替手段、例えば竹竿に赤布などの従来技術や、上記の高度計情報や目印、記憶などあらゆる情報源を総合的に活用する必要があります。そ のためにはパニックにならないことが重要です。


 GPSと地図
 今となっては全く時代 遅れな記事です。昔はこんな苦労をしていたという記録にします。この頃は50mメッシュの標高データCDを国土地理院から購入す る必要がありましたが、現在では無料で地形図も利用できるようになりました。税金を払ってよかったと実感します。

 地形図付きのGPSも販売され、1/25,000地図が実装されるよう になりました。もうわざわざ緯度、経度の升目が引いてあ る地図を作成する必要は無く なってきたようです。
 GPSの測定結果から地図上で正確な位置を知る方法は、幾つかあります。
(1)代表的な目印(山頂や分岐点などのランドマーク)を予めGPSに覚えさせておき、現地では現在地と目印の相対的な方位と距 離で同定する方法。 目印から遠いほど精度が低くなりますので、想定される目印を幾つか入力しておく必要があります。しかし「や まおたくデータ」などのランドマークを入れておけば日本中の山で主要な山頂が準備できます。
(2)緯度経度の入った地図を用意しておく方法。数値で確認するため面倒ですが、地図内ではオールマイティーです(地図外では全 く使えない)。GPSを使うときは道の無い所を行くので等高線がはっきり読める必要もあるため、私は購入した国土地理院の数値地 図(データCD)を元に、杉本さんの作った地図表示ソフト「KASHMIR3D」から得られる画像を処理して必要な山域の地図を 作り出しています。
 2002年時点で手に入る数値地図は50m間隔の標高データで、 実際の地図の等高線が完全に復元されるとは限りませんし、崖や道・沢などは表現できませんでした。
 しかし後に国土地理院1/25,000の地形図がネットで試験提供され、Kashimirで表示できるようになりたいへん重宝 しています(個人で利用する範囲であれば著作権の問題はない)。

KASHMIR 3D http://www.kashmir3d.com/
国土地理院 http://www.gsi.go.jp/
(1/25,000地図公開 http://watchizu.gsi.go.jp/

山スキー用に作成
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