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  GNSSの覚書

etrex30x
GPS
 古くから作っていたGPSのページが時代の変化に応じて修正していたら複雑に なりすぎたので覚書として記録しておきます。現在3代目のGNSS受信機を使用していますがスマートフォンの性能やアプリも発達しており両方 持参するのも良いかと思います。


 技術の進歩でGNSS携帯デバイスが増え、電力も モバイル用電池から融通できる時代になりました。写真のような専用機をお持ちでなければ、お手持ちのスマートフォンなど携帯デバイスでGNSSが 使えるようにして、万一に 備えましょう。そうすることで多くの道迷い事故を救える。(GNSS: Global Navigation Satellite System アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、欧州、中国が全地球に展開している。日本のみちびきは地域系衛星)。
 スマートフォンは画面が広く美しく、操作に対する応答が早いですが、それでも 専用機の優位性は高くお勧めです。以下、GNSSを利用する装置のこ とを単にGNSSと表現しています(本当は衛星や観測制御装置も含めたシステムのことを言う)。

1.スマートフォンのGNSS機能を使う場合
 防水スマートフォン、モバイルバッテリー、GNSSアプリがあれば多くの状況 下 で利用できる時代になりました。アプリをインストールしておけば心強いです。手袋をしている場合は辛いですがスマホ対応手袋や専用ペンが あります(但し厳 冬期にアウ ターグ ローブを外して操作していると凍傷のリスク大)。日本向けのオフラ インで使える アプリ有名どころは YAMAP、ヤ マレコ、ジオグラフィカ、地図ロイド+山旅ロガーなどです。古いスマホをGNSS専用機にしてしまうのも良いかもしれません。-20℃ を下回るとLiイオン電池がやられ易いです、体温で温めましょう:電池交換が自分でできないものが多いので。何度 も見るような使い方には向きません: 便利用に使うか、地図で登山し、お守り用・確認用として持つのが良いように思います。本気で使う必要がある場合は頻繁にロック解除と電力消費が多くなり、時間を失う。

2.GNSS専用機の場合
 GNSS専用受信機はスマホなど通信装置の電池を使わずに常時動作させられ、太陽光の下でも視認性が優れ、雨でも雪でも手袋でも操作しやすい設計ですので、冬 の高い山などで積極的な使用が想定される山行に適しています。電池交換できる機種も多く大変おすすめです。本気で使う必要のある場合は、頻繁 に見ながら使用でき、特に磁気コンパス付きのものは別コンパスを見る時間が省けて時間が手に入る。ですが画面の小ささによりスマートフォンに 比べ情報提供力が劣ります。
 新しく購入する場合、地形図付きのものは高価で、購入すべき地形図が別 売だったりし ます(地図を国土地理院やOSM(Open Street Map)からDLして処理すれば自己責任かつ個人用途で可能なようですが有償登山地図の現地調査済み地域には及ばない)。新しい機種が出るペースが遅く機能だけでみるとス マート フォンアプリに追い抜かれている気がします(アップリンク通信をしないので登山届や現在位置通知はできない )。片やMIL規格を幾つもクリアするスマートフォンもありますのでこれらは今後普及する力を持っているでしょう。

 GARMIN社製品を例にします。写真上のetrex30xはバックライト無 しの状態で撮影しています、光の角度によっては見にくいですが直射日光下でも問題なく使えます。防水、ボタン操作(手袋可)、電池持ちが良く 気にせず使え交換可。米国向け製品なら安く買えますので(品名に 「J」が付いていないもの)、これをネット等で購入して日本語フォントを入れ、地図はOSM(Open Street Map)を導入することで数万円で手に入れました(ついでにメニューも日本語化した)。商用登山地図は取扱範囲であれば現地確認まで してあるのに対し、国土地理院地図やOSMは現時点では未確認の場合が多く実際に登山道の間違いがあります、ヤマレコなどのトラック実 例をGNSS装置に入れて参考にするのが良いと思い ます(そうしないと冬道とか登山道以外を行く場合とかに使えないし、情報源が複数無くて地図が間違ってたら大変でしょ)。
 GARMINでも静電容量式タッチパネルの製品がありますが、これはスマートフォンと同じく指などの誘電体や導電性のあるものでの操 作 が必要です。なので私の場合はボタン操作にこだわっています。
 最近(2019年ごろ)のアップデートでetrex20x/30xは漢字など 2バイト文字コードを使った地図を読まなくなったそうです、なので地図はローマ字のものを使用。ポイントは日本語フォント導入により表示でき ます。日本中 の地名を入れたら起動時の読み込みとスクロールに時間がかかり、新しいポイントが登録できなくなったので、ポイントは選んで登録すべきです。西ヨーロッパの地図が 6.4GBにもなり本体に入りきらないためか、従来3GBで本体にあった地図をアップデートではSDへ移動するようになりました。

 専用機で地形図の機能が無い安価なタイプは目標(ウエイトポイント)や既存の ルートと現在位置が地図的に表示されます。 目標に対する方位と距離も表示され目標に向かって進んだり現在地を推定できます。ルートはPC上で杉本さんの Kashimirを使い地形図を見ながら作成してGNSS端末へアップロードできますので、意外と実用性は高いです(逆にこのような方法を知らなければ、初めてのルートで は引き 返し時に同じルートを通るために使えるか、目標までのおよその距離と方角が判る程度なので、意義はありますが地図付きのものに比べると期待外れと感じるでしょう)。昔は地 図付きが無かったのです。

3.注意点
 GNSSだけでなくコンパスと地図の両方を持参し、どちらか一方が使えない場合の保険をかけましょう(エ クストリームな状況で は、覚えていた地形とマッチングできなかったり、地図が風で飛ばされたり、安物コンパスのダンパーオイルが低温で固まったり、GNSS受信機が電波や温度で動作しなかった り電池切れや故障、操作困難な状況もあり得る)。
 スマートフォンの位置情報はGNSS衛星だけでなく移動電話(携帯やスマホ) の電波到達時刻を使った測位(複数基地局からの距離から計算)でも 行っていますので、GNSS機能が故障していても生活圏で は気付かず、移動電話圏外で位置情報が突然使えなくなるリスクがあります。機 内モードにしてGNSSだけによる測位が可能か必ず点検を行ってください
 地図を自分で印刷する場合、水性インクでは水に濡れた時に滲ん で使えなくなります。顔料インクか、コンビニエンスストア等でトナー式のプリンタで印刷しましょう。

4.地形図が出ないタイプのGNSS専用機の工夫
 写真下は私の使っていたものです:磁気コンパスをア ンテナの邪魔にならない箇所に接着しました。 これらのモデルは地形図が出ません。目標やルートと現在位置は地図式に表示されるので、コンピュータ上で作成したルートやランドマークを記録しておき本番で利用したり、山 頂などとの相対距離と方位から地図上で 現在位置を知ったり、経緯度のメッシュを印刷した地図で経緯度の数値に従って現在位置をプロットしたり、常時動作させてト レースを記録し引き返す際に利用可能とするといった方法となります。地形図が出れば一発なんですが、無いより格段に安心です。
 どちらも 風雨や雪の中での手袋操作に適したボタン操作式です。感度は写真のものより、アンテナが付き出したヘリカルアンテナのものが 良いそうです。
 防水性、直射日光下での視認性、手袋での操作性、連続動作時間、低温での液晶表示速度、電池交換性が重要な要素です。

5.歴史的な常識の変化(常識はどんどん変わってゆく、古い常識に惑わされな い)
 携帯電話の時代はGPSの計算を携帯キャリア側コンピューターで演算していた時代がありましたが、現在のスマートフォンは内部で演算してお り基地局からの電波なし(機内モード)でもGNSSが機能します。
 みちびき対応でないスマートフォンはA-GPSといって基地局から衛 星位置情報・ 補正情報を得て精度を上げていますので、基地局電波が届かない場所では測位開始の遅れ(初回は12分間、6日間有効)や精度低下が起こります。
 GNSS専用機は移動通信基地局電波を受信しないのでA-GPSではありませ ん、古 い単なるGPSのものは衛星の初回捕捉時間に12分程度かかり精度は10m級です。但し、WAASやMSASなど別の静止衛星から送られ る補正情報を使って精度を高めているものは、受信できればA-GPSと同じようにm級の精度が得られます。日本周辺の場合、人工衛星みちびき「補 完信号」を受信できるものは衛星の数が天頂近くに1個増えただけの効果となります。みちびき「補強信号」 を受信できるものはGPS衛星誤差の補正や電離層遅延の補正情報によって数mの精度が期待できます、これはD-GPSやA-GPSと同様の補 正を行っているためで、どれも同程度の精度です。 cm級の精度を出すにはみちびき以前からプロの測量で使われているような、既知の基準点にRTK基地局を置く方法等が必要であり登山には向き ませ ん。更にmm級の精度を出すには電波の位相を用いる大変な装置と技術と観測時間が必要でリアルタイム性もありません。
 GNSS受信機の感度は高くなってきています。スマートフォンより衛星を拾え ないような専用機は買い替えの機会です。

 トピック

(1)2019年(個人的なトピック)
 地元に戻り豪雪地帯のスノーハイキングでは視界が悪く道迷いが非常にリスキーと見た。スマホは何回かフィールドで使ってみて危ういと感じた。なので迷わず購 入を決意しGARMIN社etrex30xを購入した:日本地図入りは高額すぎて手が出せなかった。登山道を行くとは限らない場合が多いので、みんなの実際の 足跡データを参考にする(参考にならない足跡もあるので要精査)。
 度重なる水害で荒廃した登山道調査を行ったところ、スマートフォンは参照できる回数が少なくあまり有効でなかった(情報提示力はある)、結局GNSS専用機 を手にもって頻繁に見ながら探索する必要があった。磁気コンパス内蔵のものは位置だけでなく方位も同時に提示されるので大変助かった(別のコンパスを見る手間 が減り時間が手に入る)。

(1)2018年(個人的なトピック)
 遅ればせながら多くの電池システムをNi-Hからリチウムイオン電池へ移行。モバイル電池からスマートフォンやヘッドランプへ融通でき るようにした(という時代の記録)。
 登山地図アプリを追加し、スマートフォンで十分使えそうだと実感した(エクストリーム以外は)。

(2)2016年
 米国のGNSSに加え、ロシアのGLONASS、加えて日本の準天頂衛星「みちびき」に対応したものが主流となって います。準天頂衛星の軌道は高い仰角を衛星が運航するので、谷やビルの下にも電波が届き易くなり、GNSS衛星に対する誤差補正情報も得られるので測位可能範囲やその精度 向上が期待されます。

(3)2013年
smartphone  防水スマートフォンで「地図ロイド」と「山旅ロガー」を使用してみたところ、 予め目的地の地図を閲覧しておけばオフラインでもGNSSの動作が可能でした。かつての携帯電話GNSS機能とは異なり、端末自身で計算している ため、単独で動作します。

~ この間は専用機を専ら使用 ~

(4)2002年
GNSS受信機能のついた携帯電話を使い始めました(当時スマートフォンは存在しなかった)。
携帯電話
特徴は次のとおりです。
・意外に感度が高く、多少の林や木のそばでも問題なく受信できる。
・緯度経度は「度分秒」または「度分(4桁)」で表されるが、このモデルでは後者が採用されている。例えば「123度45分30秒」は 「123度45.50分」と同じなので換算が必要であるか地図の表現と比較する必要があります。
・受信情報をネットへ送り、サーバー側で位置を計算して地図とリンクさせるしくみらしい。この頃は携帯電話単独で測位できない仕様 のよ うです、山ではほとんど使えません(という時代の記録)。

(5)2000年5月(当時GNSSを使うにはGPS専用受信機以外に手段がなかった時代)
 民間向けGPS信号の精度が向上し、条件にもよりますが今までの誤差約100mが誤差約10mに改善されるとの発表がありました。 今まで民間向けGPS信号を軍事目的に転用しにくくする目的で誤差信号が混入されていたのですが、 地域を限定して誤差信号を有効・無効に制御する技術が確立されたため、 通常の地域では民間向けGPS本来の精度で測位できるようになったというものです。
 2000年5月3日に常念乗越のテント場で確認したところ、 衛星7個受信時に推定誤差1mと表示されました(今までは良くても推定誤差10~20m程度でした)。 10m以下の測定結果を表示する特殊モードでは、テントの中で2m程度受信位置を変更したところ、移動方向と約2mの「変化」も検出されました。 驚くべき精度です。(但し、民間用GPS信号の有効語長(数字の桁数)は10m程度の表現能力しかありません。 従って上記テント内実験の精度は、同じ衛星を使ってごく短い時間内の相対的な変位を検出できたというものです。 数10分後には同じ精度の測定結果は得られませんでしたので、一般的に10m程度の誤差は見込む必要があります。)

 GNSSの 原理と性質

 GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)は米国政府が管理する衛星を使った測位システムで、 衛星から送られる電波から受信点の位置と正確な現在時刻を求めることができます。
 衛星の発する信号には、信号を送った時刻と衛星の位地情報(軌道情報)が含まれており、複数の衛星から受信した時刻と受信情報の中に書かれた送信時刻との差 に光速を掛けて受信地点と衛星の距離を求めることができます。 極めて正確な時計があれば原理的には3個の衛星から受信点の位置を計算する事ができます(衛星からの距離を半径とする3つの球が交わる点を 計算する。 しかし実際のGNSS受信器には、そこまで正確な時計を実装していないので、4個以上の衛星を使って、連立方程式から3個の位置情報と時刻(合計4個の未知数)を解い ています。

 以上の原理により、GNSS測位には最低4個の衛星を受信する必要があり、 受信できる衛星どうしの距離が近い場合や、受信可能な衛星の数が少ない場合は誤差が大きくなります。 受信アンテナの指向性が広い範囲をカバーしていても、崖や谷によって電波が遮蔽されたり反射された場合には大きな測定誤差が発生します。 GNSSにとって厳しいと思われる条件を実際に試したところ、およそ下記の結果が得られました。なお受信機の感度によって多少の差がありま すの でご注意ください。

GNSS受信環境と実験結果

条件
結果
降雨、降雪
衛星からの電波が多少の減衰を受けます。
しかし空を遮るものが無ければ、たいてい問題ありませんでした。
なお受信機の防水・防滴仕様には注意してください。
樹林帯
シラビソや杉など高い木が密集して空が見えない場合は、 樹木による減衰が大きく全く使えない場合が多い
一本であっても、太い幹を持つ大きな木のすぐそばでも同様に減衰が大きい。
明るい広葉樹や低木の場合、木から離れていれば多くの場合問題ありませんでした
沢、狭い谷、壁
ほとんどの場合、衛星受信数不足や、反射波による測定誤差が大きく使えない、または 信頼 できない

GNSS衛星「みちびき」によって衛星1個分+各種補正の改善がされます(みちびき対応であること)。
受信環境が良くても思わぬ誤差や不具合が発生する場合がありますので、下記の注意を払ってください。

注意事項

項目
注意事項
方位に注意
GNSSは専ら位置情報を提供するだけです
 なので、移動するために必要な方位情報は別の手段(磁気コンパス、地形、太陽など)から知るか、最悪は動いてみて GNSSの 進行方向 から知る必要があります。一般に磁気コンパスが便利です。スマートフォンは磁気コンパス付きのものを選びましょう。
 なおD-GNSSを使えば方位もわかりますが、今のところ車・船舶・航空機用です。
動作温度範囲
に注意
 典型的なGNSS受信機の使用温度範囲は、日常用で0℃~50℃、3シーズン用で -10℃~+60℃、 警察・レスキュー用で-25℃~+70℃です(2003年)。
 私はザックの肩ベルトに括り付け常時受信していますから温められません。3000m級でなくても-10℃を簡単に下回 り、 受信動作や精度に問題の出る場合があります。 ポリエチレンの袋で包み、冷凍庫に入れて1時間程度温度に馴らして実験するなど確認しておく必要があります。 万一フィールドで問題が生じた場合はポケットに入れて温度低下を防ぐなどの工夫が要ります。
 スマートフォンは冷凍庫に入れると壊れたり電池が使えなくなったりすると予想されます。動作温度範囲外であれば必ずポ ケッ トに持参となるでしょう。
液 晶は 低温
に注意
 多くのGNSS受信機には液晶表示が使われています。 液晶(バックライト式でない)は消費電力が少ない利点がありますが、低温時の表示速度が低下したり、 表示が見えなくなる傾向にあるので実際に使って確かめておく必要があります。
 私の例では気温-15℃程度において、表示を変えた後で読めるようになるまで2秒もかかりました。 何度もボタンを押す必要のある操作は、表示が変わるたびに2秒待つ必要があり、使い物にならなくなる。
 対策として、あらかじめ必要なモードに設定して見るだけにしておけば液晶表示の遅さや手袋による操作のしづらさも気に なり ません。
標高
に注意
 地形図+標高データを持つGNSSの場合、地図から標高を読む理屈で正確な標高を提供する もの が増えてきました。その場合は知りえる最高精度の標高が得られます。以下の記載はそうでない場合です。
(1) GNSS受信機に表示される標高(平均海面からの高さ)は、地球上の海面を回転楕 円体として近似し て いる場合が多い(最近は(3)のように正確なものもある)。 実際の海面は海流や重力の偏り等の影響でこの近似から外れており、 地図に使われる標高は実際の海面を実測した重力に基づいて水平方向に延長・補間して標高を定義しています。
 従って多くのGNSS受信機の示す標高には誤差が多く含まれます。 地図の標高を使ってちゃんと補正しておく必要があります。
(2) また、受信できる衛星の数が3個以下になった場合、標高が前回の測定結果と同じであると仮定して二次元測量を 行う場合があり、 この場合の標高は新しい情報にはなりません。 2次元測量は平地なら実用的な機能ですが、山では使えません。
基準点
に注意
 経緯度から紙の地図で位置確認をする場合の注意です。同じGNSS受信機内で地図表示する 場合 は気にする必要ありません。
 GNSSで測定した緯度と経度を地図上で参照する場合、両者の測地系が違うと問題になります(同じGNSS受信機で測定し た目 標 と現在位置との相対関係だけを扱う場合には問題になりません)。
 基準によっては400m程度の差がありますので、間違えると致命的な誤差が生じます。 日本の地図では2002年まではTokyoでしたがWGS84へ移行しました。 古い地図はTokyoのままですから、新しい測地系の地図を使うか、GNSSに古い測地系で表示させる必要があります。


 GNSSの意義
 天気が良かったり、道の上を歩いていたりする限り、道標や山岳同定などによって、まず迷う事はないと思います。 また、バリエーション要素が多く視界があまり利かない場合でも、有名なルートなら何々ピークとか出合いなどの目印が役立ったり、沢や尾根など線状のルート にいる事がわかっていれば高度計でおよその位置を推定できます。
 GNSSが助けとなるのは、間違ったルートを降りていないか等の確認や、ひどい降雪やガスに巻かれた場合等です。気になったら積極的に確認す るのが遭難防止になると思います。
 機械は故障したり電池切れになったりする場合もあります。 またGNSSの効かない深い谷や暗い樹林帯も多く存在します。 従ってGNSS以外の代替手段、例えば竹竿に赤布などの従来技術や、上記の高度計情報や目印、記憶などあらゆる情報源を総合的に活用する必要があります。そ のためにはパニックにならないことが重要です、むやみに進まず立ち止まり落ち着いて論理的に考える。


 GNSSと地図

山スキー用に作成
 今となっては全く 時代 遅れな記事です。昔はこんな苦労をしていたという記録にします。
 この頃は50mメッシュの標高データCDを国土地理院から購入す る必要がありましたが、現在では無料で地形図も利用できるようになりました。税金を払ってきて良かったと実感します。
 地形図付きのGNSSも販売され、1/25,000地図が実装さ れる よう になりました。もうわざわざ緯度、経度の升目が引いてあ る地図を作成する必要は無くなってきたようです。
 GNSSの測定結果から地図上で正確な位置を知る方法は、幾つかあります。
(1)代表的な目印(山頂や分岐点などのランドマーク)を予めGNSSに覚えさせておき、現地では現在地と目印の相対的な方位 と距 離で同定する方法。 目印から遠いほど精度が低くなりますので、想定される目印を幾つか入力しておく必要があります。「や まおたくデータ」などのランドマークを入れておけば日本中の山で主要な山頂が準備できます。
(2)緯度経度の入った地図を用意しておく方法。数値で確認するため面倒ですが、地図内ではオールマイティーです(地図外では全 く使えない)。GNSSを使うときは道の無い所を行くことが多いので等高線がはっきり読める必要もあるため、私は購入した国土地理院の数値地 図(データCD)を元に、杉本さんの作った地図表示ソフト「KASHMIR3D」から得られる画像を処理して必要な山域の地図を 作り出しています。
 2002年時点で手に入る数値地図は50m間隔の標高データで、 実際の地図の等高線が完全に復元されるとは限りませんし、崖や道・沢などは表現できませんでした。
 しかし後に国土地理院1/25,000の地形図がネットで試験提供され、Kashimirで表示できるようになりたい へん 重宝 しています(個人で利用する範囲であれば著作権の問題はない)。

KASHMIR 3D http://www.kashmir3d.com/
国土地理院 http://www.gsi.go.jp/
(1/25,000地図公開 http://watchizu.gsi.go.jp/
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